糖質は食べても太らない?!糖質制限ダイエットの科学的エビデンス 

糖質制限を実践されている方には衝撃的なタイトルかも知れません。

ダイエット中でも糖質食べてもいいなんて・・・私は正直、今でも半信半疑です。

でも!科学的エビデンスがそう言っているので、紹介したいと思います。

少し前までは、とにかく油・脂物を避ける”脂質制限”をして、カロリーを減らす食事法がダイエットの常識でした。

それが、ライザップの登場もあり、最近は「糖質を減らすべき」というのがダイエットの新常識として浸透しつつあります。そして、ココナッツオイルやバターといった、体に良い成分を含む、いわゆる良質な脂質はたっぷり食べても太らない、ということも、お医者さんや栄養士さんからも発信されるようになりました。

このように、三大栄養素とされる炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質の食べる量をコントロールすることによるダイエット・食事法は複数存在しています。

常識は時代と共に変わっていきますが、果たしてこれらの三大栄養素をコントロールするようなダイエットは、健康維持やダイエットにおいて本当に有効なのでしょうか。

先日、「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」という本で、「炭水化物は体に悪く、食べると太る」という考えは間違った情報である、という衝撃のコメントを読みました。

糖質制限を信じて実践してきた私はすんなりと受け入れられなかったので、「ほんとに?!」という疑り深い観点から調べてみた結果をご紹介します。

ダイエットに糖質制限は本当に必要なのか

このような疑念を抱いたきっかけは、「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」で、著者の津川友介教授が言っていた以下の言葉からです。

“炭水化物なら何でも減らすべきという考えは間違いである。”(同書 P. 103)

私が普段見ているアメリカのダイエット支援サービス提供サイト「Diet Doctor.com」やライザップなどでは、糖質制限によってダイエットし、成功事例をいくつも作っているため、個人的には、太る根源は糖質である、と信じたいです。

しかし、調べてみたところ、現時点で実施されている信頼性の高い研究では、「糖質全部がダメなのではなく、精製されていない糖質(玄米や全粒粉などの茶色い炭水化物)なら体重維持には影響しない」という結論のようです。

ハーバード大学公衆衛生学部の記事でも同じような研究結果を見つけました。

引用すると、「糖質すべてが悪いのではなく、精製された砂糖や小麦よりも玄米や全粒粉などの加工過程の少ない糖質であれば健康維持には効果的」とされています。

そして複数の調査結果の総論は、”カロリーの質”を意識して糖質・脂質を摂ること、糖質・脂質の摂取量をコントロールすることがダイエットに有効である、となりました。

うーん。。。

「痩せたいなら糖質はNG」とした方がシンプルだし、わかりやすい。

なのでこの結論は、納得感が若干薄めです。

ただ、カロリーの質を意識する、というのはその通りで、かつダイエットや健康維持のための体重管理には絶対に欠かせないことです。

なので、この総論に至るまでの具体的なエビデンスの内容をご紹介していきます。

カロリーは量だけでなく”質”が重要

カロリーの質が高いとはどういうことか。

簡単に言うと、同じカロリー数でも、体に良いものがたくさん含まれている方が”質が高い”、体にプラスにならないもの、悪影響を与える可能性が高いものは”質が低い”カロリーとなります。

例として、100キロカロリーを目安に考えてみましょう。

ポテトチップス100キロカロリー分だと、約20gです。(指三本でふわっとひとつかみしたくらい)

栄養素は脂質、炭水化物、塩分が中心です。カリウムやマグネシウム、リンなどのミネラルも若干含みます。でも、これらの栄養素をポテトチップスで補おうとすると、糖質の摂りすぎになってしまいます。

反対に、ブロッコリーだとどうでしょうか。糖質制限ダイエット中の方には、ほぼ主食として食べられてたりしますよね。

茹でたブロッコリーだけだと、同じ100キロカロリー分で400gにもなります。それに塩を足してもほぼ同じ重量分食べられます。

茹でブロッコリーだけで食べるのも切ないので、適量のオリーブオイルとにんにく、塩コショウ(クレイジーソルトだとより美味しいです)で炒めたブロッコリーソテーで食べたとしても、ブロッコリー150gくらいの量になります。

その場合の栄養は、糖質は少なく、ビタミン、ミネラルなどの栄養をたっぷり摂れます。
抗酸化作用をもつβカロテンやスルフォラファンという成分や、美肌効果・免疫力アップにもつながるビタミンC、カリウム、鉄などが取れるので、体に良いことづくしです。

このように、同じ100キロカロリーでも、栄養がぎゅっと詰まった質が高いもの、栄養スカスカの質が低いものがあることがわかりますね。

これまで、「カロリーはカロリー」として同じように見られてきましたが、近年では、カロリーの質が低いものを避け、質が高いものを食べることが健康維持に重要だと研究でも明らかになっています。

カロリーの質が高い食品

加工工程の少ない、もしくは一切加工されていない天然の食品を指します。具体的には、野菜、果物、全粒粉や玄米などの精製されていない(茶色の)穀類、魚や肉などに含まれる脂質やコールドプレスされた油などが含まれます。

これらの食品を積極的に食べることは、ダイエットだけでなく健康維持にもとっても効果的です。このブログで以前書いたダイエットのポイントでも、重要なポイントとしてご紹介しています。

今から実践できる、健康的なダイエットに必要な7つのコツ

※ちなみにコツ1つ目は糖質制限です!笑

カロリーの質が低い食品

お菓子などの加工食品全般、砂糖や人工甘味料を多く含む清涼飲料水、精製された(白い)穀類、揚げ物、トランス脂肪酸を多く含む食品(マーガリン等)などが該当します。

カロリーの質に関する科学的エビデンス

ハーバード大学公衆衛生学部の記事は、健康的な体重の維持には、食べ物の質(=カロリーの質)重要であることを証明する研究を公表しています。

健康な男女12万人を対象に、20年に渡り行われた研究では、次のことが明らかになりました。

  • 体重の増加に影響するのは、ポテトチップス、ジャガイモ、砂糖を含む清涼飲料水、加工および非加工の赤身肉である。
  • でんぷん質を多く含む加工食品(カップラーメンやピザ等)、精製された穀類(白い炭水化物)、脂質、砂糖の摂取は、体重を増加させる。
  • 体重の減少との関連が認められるのは、野菜、精製されていない穀類(茶色の炭水化物)、果物、ナッツ、ヨーグルト
  • カロリー計算の重要性は否定できない。質の高い食品を食べることで、摂取カロリーの低下につながる。

これらのことから、これまで一般的だった「摂取カロリーを減らしてたくさん運動する」というダイエットの通説は不十分だいえます。というのも、カロリーコントロールは必要ですが、質の議論も必要だということです。

加工されていようがいまいが、赤身肉が太る原因になる、という結果には驚きですね。。

︎糖質制限の有効性に関する科学的エビデンス

三大栄養素と呼ばれるタンパク質、炭水化物、脂質。

これらの摂取量をコントロールするダイエットが注目されています。

例えば油・脂物を控える低脂肪・無脂肪のダイエットや、糖質制限などのダイエットが過去数十年に渡って実践されてきています。

これらダイエットの有効性は研究者によって検証されてきています。

厳格な糖質制限はダイエットに有効

2007年にJAMA(The Journal of the American Medical Association:米国医師会雑誌)で発表された研究では、炭水化物の摂取量が与える体重への影響について、300人の肥満女性を対象に、12か月に渡って調査しました。

対象となった女性を、炭水化物の摂取量に応じて以下の4つのグループに分け、体重の変化を観察します。

  1. アトキンスダイエット:一番厳密な糖質制限。1日の糖質摂取量を50グラム以下とする。
  2. ゾーンダイエット:ゆるやかな糖質制限をする、いわゆる”ロカボ”の食事。1日の摂取カロリーの40%を炭水化物、タンパク質と脂質で30%ずつにする。
  3. LEARNダイエット:低脂肪、高炭水化物の食事。1日の摂取カロリーの50-60%を炭水化物から摂る。(日本で厚生労働省の食事ガイドラインが提唱している割合とほぼ同じ。)
  4. オーニッシュダイエット:良質な炭水化物を主なカロリー摂取源とするもの。脂質は1日のカロリーの10%以下に抑える。その他質の低い炭水化物や脂質は制限する。

その結果わかったことは以下の通りです。

  • 1年後、最も減量に成功したのは、最も厳しい糖質制限を実施したアトキンスダイエットの実践グループだった。
  • アトキンスダイエットを実施したグループは、他のグループに比べ、コレステロール、体脂肪率、血糖値、血圧などの数値改善が見られ、体重減少以外の副次的効果が得られた。
  • アトキンスダイエット以外の3つのグループでは、体重の減少に関する効果に大きな相違はなかった。

この調査から、1日の糖質量を50グラム以下に制限する”厳格な”糖質制限はダイエットには効果的である、といえます。また、それ以外の健康改善も期待できます。

糖質制限信者の私にはとっても納得感ありな結果です。そして、ブログで発信している情報の方向性が間違ってないことがわかり安心。。

糖質制限しなくても実はダイエット効果は変わらない?!

2009年にはThe New England Journal of Medicineでは、上記の研究で行われた4つの食事パターン別には、はっきりとしたダイエット効果の違いは確認されませんでした。

この研究は、800人の男女を上記4つの食事パターンに振り分け、食事による体重の変化を2年間にわたり調査したものです。

得られた結果は以下の通りです。

  • 4つの食事パターンを実践した各グループは、三大栄養素の摂取量が違ったにもかかわらず、同じような体重減少が確認された。
  • カウンセリングセッションへの参加回数が多い人ほど痩せた量も多く、且つリバウンドもしにくかった。

この結果から、必ずしも糖質制限だけがダイエットに有効であると言えなくなりました。。。

そしてダイエットには、食べ物だけでなく、行動、心理、社会的要素などが影響することがわかります。

あれだけ糖質制限は痩せると世間で言われてるのに、なんで糖質制限していてもしていなくても痩せるの?!という感じですが、そのモヤモヤの解決に少し役に立ちそうな調査結果が次にご紹介する、GI値に関するものです。

低GI値の糖質なら食べても太らない

The New England Journal of Medicineで2010年に掲載された研究では、体重維持とタンパク質およびGI値の関係に関する調査結果が発表されました。

GI(グリセミック・インデックス)値とは、食後の血糖値の上昇度合いを示す数値です。数値が高いほど血糖値が上がりやすいことを意味しています。炭水化物50グラムを摂取した時の血糖値の上昇具合を、ブドウ糖の場合を100とした相対値で示されます。一般的に、GI値が70以上は高い、55以下は低いものとして扱われます。

調査は、対象はヨーロッパ各国の肥満男女800人を対象として行われました。参加者はまず、調査開始初期に低カロリーダイエットを実践し、体重の約8%を減量してから、特定の食事パターンを26週間継続し、体重の変化を観察します。(体重60キロの人だと5キロ弱、最初に減量するイメージです。)

調査参加者は以下5つのグループに分けられ、食事をします。

  1. 低タンパク質、低GI値
  2. 低タンパク質、高GI値
  3. 高タンパク質、低GI値
  4. 高タンパク質、高GI値
  5. 何もしない

この調査結果は以下の通りでした。

  • 低タンパク質、高GI値のグループは最も体重が増加。
  • 高タンパク質グループの方が低タンパク質グループよりも増加しにくい。
  • 低GI値グループの方が体重増加しにくい。

この結果から、適度なタンパク質の摂取および低GI値の食事が体重維持に効果的であることがわかります。

どんな食品のGI値が高い、または低いのか、簡単にご紹介します。

カテゴリー 食品 GI値
炭水化物 食パン 75±2
全粒粉パン 74±2
白米 73±4
玄米 68±4
スパゲッティー 49±2
根菜系の野菜・果物 ジャガイモ(ゆで) 78±4
かぼちゃ(ゆで) 64±7
ニンジン(ゆで) 39±4
バナナ 51±3
りんご 36±2
乳製品・豆類 牛乳 39±3
ヨーグルト+果物 41±2
アイスクリーム 51±3
豆乳 34±4
大豆 16±1

(出典)HARVARD MEDICAL SCHOOL – Harvard Health Publishing, Glycemic index for 60+ foods

前述の調査結果で、糖質制限をしていたグループとしていなかったグループでダイエット効果が変わらなかった、と紹介しました。きっとその背景には、糖質の”質”が関係していると思われます。例えば、しっかり糖質摂取をするオーニッシュダイエットは、”質の低い”糖質の摂取をやめるよう主張しています。ファストフードやスナック菓子などの糖質をしっかり食べていた訳ではないようで、質の高い糖質を摂っていたとしたら、太らなくても納得です。

︎まとめ

ご紹介した上記3つの調査結果から、タンパク質、脂質、炭水化物という三大栄養素のコントロールによるダイエット方法は、食べるものの質によって満遍なく効果があることがわかりました。

1日の糖質摂取量を50グラム以下に抑えるような厳格な糖質制限は、体重減少に効果があることは科学的なエビデンスで証明されています。

それ以外にも、質の高い=精製されていない糖質(茶色い炭水化物)であれば、「太ることはない」と言えそうです。

「ダイエット秘伝の巻」のような、誰でも絶対に成功するような完璧なダイエット法はなく、適切なダイエット法や健康的な食事内容は一人一人の生活習慣や遺伝子によって異なります。

何よりも、健康維持やダイエットには、カロリーは「量」よりも「質」を意識しましょう。

そうすると自然に、砂糖をたくさん含んだお菓子や加工食品よりも、天然の野菜や魚、肉などを中心とした食生活になっていくと思います。

この情報が少しでもお役に立っていますように!

(出典)

Harvard T.H. Chan School of Public Health, The Best Diet: Quality Counts

(出典の出典)

Mozaffarian, D., et al., Changes in diet and lifestyle and long-term weight gain in women and men. N Engl J Med, 2011. 364(25): p. 2392-404.

Gardner, C.D., et al., Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN diets for change in weight and related risk factors among overweight premenopausal women: the A TO Z Weight Loss Study: a randomized trial. JAMA, 2007. 297(9): p. 969-77.

Sacks, F.M., et al., Comparison of weight-loss diets with different compositions of fat, protein, and carbohydratesN Engl J Med, 2009. 360(9): p. 859-73.

Larsen, T.M., et al., Diets with high or low protein content and glycemic index for weight-loss maintenanceN Engl J Med, 2010. 363(22): p. 2102-13.