糖質制限って本当に安全・安心?ダイエットドクターが語るQ&A

ライザップの登場から一躍話題になっている糖質制限。これまでずーっとエネルギーとして糖質が必要、炭水化物が必要といわれてきたのに、本当に大丈夫?という疑問もあるのではないでしょうか。

この記事では、糖質制限に関してよくある疑問7つとそれぞれへの回答をまとめました。アメリカ、ヨーロッパの各国を中心に、糖質制限+たっぷりの脂質を食べることで脂肪をエネルギーとする体質に変化し、体脂肪を効率的に燃やすことを目指す「ケトジェニックダイエット」を推奨するDietDoctor.com(ダイエットドクター.com)というサイトで紹介されているプロのコメントを参考に解説していきます。

糖質制限+たっぷり脂肪を食べるケトジェニックダイエットでは、炭水化物を食べる量を抑える代わりに、腹持ちがよく、満足感を与えてくれる脂肪たっぷりな食事を推奨しています。

Q: 脳には糖質が必要じゃないの?

A: 脳にはエネルギーとして糖質しか吸収できない部分があるのは事実です。しかし、大部分は脂肪から作られる「ケトン体」と呼ばれる物質をエネルギーとして活動することができます。

1日の糖質量を20g以下に制限するような厳しい糖質制限をすると、脳みそは脂肪をエネルギー源として使うようになります。肝臓が食べた脂肪を分解し、「ケトン体」と呼ばれる物質を生成することで、脳はそのケトン体をエネルギー源にします。

糖質のブドウ糖しかエネルギーとして使えない部分に糖質を送り込むために、体にはタンパク質からブドウ糖を作り出す仕組みが備わっています。この仕組みを「糖新生」と呼びます。英語だとグルコニオジェネシス。なんだかかっこいい名前です。糖質以外のものから糖質を作り出す仕組みとして捉えておけば十分です。

人類の数百年の歴史では、人類が炭水化物を食べるようになったのはつい最近のことです。普通に考えて、人類が炭水化物、糖質を食べないとエネルギー切れになってしまうような仕組みで進化してきたとは考えにくいです。(きっとそこまでバカじゃないはず!!)

なので、糖質制限による脳みそのエネルギー切れを心配する必要はありません。

Q: 糖質制限で栄養不足にならないの?

A: 日本では、1日のカロリーのうち50-65%を炭水化物から摂取するようにいわれています。そのため、カロリーの半分以上を制限してしまって本当に大丈夫か、心配になるかも知れません。

でも大丈夫です。栄養不足とは反対の効果が期待できるでしょう。

というのも、糖質制限をすると、実際に食べられる食事は加工工程の少ない天然の食材が多くなるはずです。例えばお肉、野菜などです。こうした食材は栄養たっぷりです。

今の食生活で食べている砂糖をたくさん含んだパンや、ラーメン、パスタ等の麺類、お菓子などの炭水化物は、野菜や肉、魚といった質の高い食品に置き換わります。そのため、低糖質ダイエットによる栄養不足は心配しなくて良いでしょう。

Q: 糖質制限は運動する時にマイナスになる?

A: もし日常的に運動をしている場合は気になるトピックですね。結論、「状況による」という回答になります。状況次第で糖質制限は良い、悪い、どちらともいえない、といういかなる状態にもなり得ます。

糖質制限開始から1-2週間目には、体が低糖質の状態に慣れるための転換期を迎えます。なので、運動する際は、炭水化物をたっぷり摂っていた時と比べてエネルギーが保たないかも知れません。

数週間かけて体が適応した後は、少なくとも糖質制限開始前と同じ状態に戻ります。特に水分と塩分の補給が重要なので意識するようにしてください。

持久力が必要なスポーツには糖質制限をしつつ質の高い脂質をたっぷり食べる「低糖質・高脂肪」の食生活は向いていると言われています。2016年のツールドフランスのトップ選手2名は低糖質ダイエットを実践していたようです。また、世界的に有名なテニスプレイヤーのジョコビッチ選手も、炭水化物(特に炭水化物に含まれるグルテンというタンパク質)の摂取を控えるようになってから、心身が研ぎ澄まされ、パフォーマンスが上がるようになったそうです。

一方で、スプリントのような瞬発力を必要とするスポーツでは、素早くエネルギーに転換される炭水化物をしっかり摂った方が良いでしょう。

Q: 糖質制限でコレステロールが上がるの?

A: 糖質制限をすると、”善玉”コレステロールと呼ばれるHDLが増加し、中性脂肪が低下します。その結果、体内のコレステロール値を改善するとされています。

“悪玉”コレステロールと呼ばれるLDLは、糖質制限ではあまり影響を受けないことがわかっています。中にはLDLコレステロール値が増加するケースも見られています。研究によると、60歳以上の方はLDLコレステロール値が高い方が長生きされるという結果も見られているため、LDLコレステロール値で一喜一憂する必要はないのかも知れません。

Q: 甲状腺への影響はあるの?

A: 健康的な脂質の摂取と組み合わせた低糖質ダイエットをしている限り、甲状腺への悪影響を心配する必要はありません。

長期間の飢餓状態やカロリー制限は、甲状腺の機能低下を招くことがあります。ただし、糖質制限を行い、且つ脂肪をしっかり食べている状態では飢餓状態にはなりません。

実際、甲状腺機能障害があった方で糖質制限によるダイエットに成功した方は、甲状腺機能の薬の服用量が減ったり、完全に服用をストップした方もいます。

これは、甲状腺機能が低下状態にあり、薬を服用している人でも、問題なく糖質制限を始められるということです。そして定期的に経過観察を受けましょう。

Q: 糖質制限は肝臓に悪いってほんと?

A: 糖質制限による肝臓への直接的な悪影響はないと考えて良いでしょう。

糖質制限を行うと、たくさんのたんぱく質を摂らないといけないと考える人が未だに多いのが現状です。この場合、肝臓に負担がかかるのは事実です。

推奨している糖質制限+良質な脂肪たっぷりの「ケトジェニック」ダイエットでは、たんぱく質を食べる量は通常の食生活と変わりません。たんぱく質をたくさん食べることによる大きなメリットも特にありません。

むしろ、食べ過ぎてしまうことで、たんぱく質が糖質に転換され、体内で炭水化物と同様の働きをするため、お勧めしません。

さらにいうと、肝臓機能が正常な場合、たんぱく質を食べ過ぎても肝臓への悪影響はありません。もしも人工透析を必要とする肝臓疾患がある場合は、医師の指示に従ってたんぱく質摂取を控える必要があるでしょう。

まとめると、低糖質ダイエットによる肝臓への悪影響を心配する必要はありません

Q: 糖質制限で気分が憂鬱になったりするの?

A: 糖質制限を始めたばかりの1週間、場合によっては2週間頃までは、疲れやいらつき、集中力の低下といった状態が起こることがあります

これらの症状は、水分と塩分の補給で和らぐことが分かっています。つらいと感じたら、ブイヨンキューブを入れたスープや塩分を加えた出汁を1日に1、2回飲むことをおすすめしています。

長期的には、体が脂肪を主なエネルギー源として代謝する「ケトーシス状態」になった時には、エネルギーが満ちあふれ、ストレス耐性が上がったり、気分良くいられるといった精神状態の向上が確認されています。

研究では、ダイエット開始前と比較した際の糖質制限による精神面への影響はほぼない、または若干の改善が見られる、という結果が確認されています。この結果は、研究対象者の平均であるため、個人によってばらつきがあることも考えられます。

精神的に悪影響が懸念されるのは、炭水化物や甘い食品に対して依存状態にある可能性がある場合です。炭水化物や甘いものが大好きな人が、これらの食品を食べられない状態になると、一時的に鬱に似た悲しさや虚無感をおぼえるかも知れません。禁煙や断酒をしている人の気持ちを想像するとわかりやすいかも知れません。この苦しさを感じたら、一時的なものだと信じましょう。依存状態を乗り越えたら、解放感、自由、幸福感が待っています。

糖質制限によるダイエットを長期的に成功させるうえで重要なのは、美味しい食べ物で食卓を満たし、シンプルで楽なライフスタイルにすることです。そうすることで無理なく楽しい食生活を送ることができ、糖質制限が新しい習慣として定着してくるでしょう。

(出典)DietDoctor.com, “Top 14 low-carb & keto fears (and whether you should be worried)” (https://www.dietdoctor.com/low-carb/fears)