体脂肪燃焼の方程式と燃焼スイッチを握るインスリンの役割

体脂肪を燃焼するには、インスリンと呼ばれるホルモンの働きを良く知っておく必要があります。というのも、インスリンは、体脂肪燃焼モードをOFFにし、体脂肪蓄積モードをONにしてしまうからです。

ここではインスリンというホルモンをコントロールして体脂肪を燃焼するまでの仕組みをご紹介していきます。では、具体的に見て行きましょう。

そもそもインスリンってなに?

インスリンは体の左側に位置している臓器の膵臓から分泌されます。膵臓は約100万個の細胞で出来ており、α(アルファ)細胞、β(ベータ)細胞、δ(デルタ)細胞に分かれています。インスリンは、膵臓全体の60%を占めるβ細胞が分泌します。

インスリンの主な機能は以下の通りです:

  • 血糖値のコントロール(食事から摂取した糖分を体全体に運び、血糖値(血液中の糖分量)を下げる)
  • タンパク質、脂質の代謝
  • 糖分のコレステロールや中性脂肪への変換
  • 血圧の上昇
  • ナトリウムの保持

インスリンが血液中に存在している以上は、体脂肪の代謝は行われません。インスリンが分泌されている=血液中に糖分があり、インスリンが糖分をエネルギー源として体内に運んでいる、という状態のため、体に蓄積された体脂肪を血液に放出・燃焼する、という機能が働かないからです。

インスリンが出るのはどんな時か

糖質が多い食事で分泌されます。血液中に放出された糖質をエネルギー源となるブドウ糖として細胞に運ぶため、インスリンが分泌されるからです。そして、過剰なブドウ糖は脂肪として蓄積されます。糖質以外にもインスリン分泌を促す要素はあり、代表的なものは以下のようなものがあります:

  • タンパク質
  • 消化管ホルモン(gastrointestinal hormone)
  • エストロゲン

インスリンがコントロールしている血糖値は、正常な場合、食前で血糖値が80-100mg/dl程度です。食後は120-140mg/dl程度まで上昇します。その血糖値を下げるためインスリンが分泌され、食後約2、3時間ほどで血糖値は正常値まで戻ります。

インスリン過剰分泌の継続がインスリン抵抗性に

インスリン分泌量や分泌頻度が多い状態が長時間続くと、膵臓から正常にインスリンが分泌されなくなる「インスリン抵抗性(Insulin Resistance)」と呼ばれる状態になります。

この状況を例えてみましょう。家にしつこいセールス電話がしょっちゅうかかってくる状況を想像してみてください。最初は電話に出て、お断りの言葉を返すと思います。しかし、その電話があまりにも多いと、電話の応答も雑になる、しまいには電話にすら出なくなるかも知れません。

これと同じ状況がインスリンを分泌する膵臓で起きているのが「インスリン抵抗性」です。摂取する糖質の量が多かったり、頻繁に摂取していると、膵臓は常に電車の音を聞いている状態になります。膵臓は常に血液中の糖分を下げようと、一生懸命インスリンを分泌します。

しかし、あまりにも処理する量が多すぎると、膵臓はインスリンが必要な時に分泌するのをやめてしまいます。また、インスリンが多すぎると、細胞にあるインスリン受容体がインスリンを受け入れるのを拒否し始めます。

「インスリン抵抗性」には、他にも以下のような症状が見られます:

  • 脂肪肝
  • 脳に霧がかかったように集中できない状態
  • 腫脹(bloating)と呼ばれる下腹部が張った状態、消化不具合
  • 腹部の脂肪
  • 食後の眠気
  • 高血圧

これら症状が見られる場合、糖尿病予備軍となる恐れがあります。まずは食生活を見直してみましょう。

インスリンの過剰分泌をどう防ぐか

血糖値の上昇度合いを示したGI値(グライセミック・インデックス)は有名かも知れません。それとは異なる、インスリン指数(II:インスリン・インデックス)という指標が存在します。食後のインスリン追加分泌量を示した数値です。この数値が低いものは、インスリン分泌を刺激しにくいということですね。

一般的に、バター等脂肪分が多く含まれるものは、インスリン分泌を刺激しにくいです。反対に、脂肪が含まれないもの、例えば低脂肪のヨーグルト等は逆にインスリンを上昇させる原因となります。食材ごとに、インスリン指数をみてみましょう。

食材(一例) インスリン指数
バター 2%
オリーブオイル 3%
ココナッツオイル 3%
アボカド 6%
ベーコン 9%
チーズ 15%
21%
牛肉 51%
リンゴ 75%
低脂肪ヨーグルト 76%
リンゴ 75%
バナナ 84%

一般的に、油や肉の脂肪分などは体に悪い印象を持たれており、低脂肪に加工された製品が多く普及していますが、低脂肪にすることで、インスリン放出量の上昇を緩やかにする脂分がなくなってしまいます。

そのため、恐れずに脂肪分が含まれたものを食べましょう。

ただし良質の脂肪に限ります。ジャンクフードやスナック菓子に含まれるような脂分ではなく、肉、魚、卵といった動物性タンパク質に含まれる天然の脂や、遺伝子組み換え食品を原料とせず加工工程の少ないオイル等です。

ファスティングの有効性

インスリンは多かれ少なかれ、食事と共に分泌されます。そのため、体脂肪を減らしたい場合は、インスリンを刺激して、体脂肪燃焼を行う時間帯を狭めてしまう間食は避けましょう

理想は食べるのは1日3食、耐えられる場合は2食でも構いません。もしも朝お腹が空いていない場合は、無理して朝食を食べる必要はありません。お腹が空いたら食べればOKです。また、晩ご飯後に間食をするのは避けましょう。

改めて強調すると、空腹時のインスリンが放出されていない時にしか体脂肪は減りません。そのため、食事と食事の間隔を出来るだけ長くしましょう。いわゆるファスティングです。ファスティングという言葉は最近少しづつ普及してきたように感じますが、いわゆる”断食”です。断食といっても、空腹時間を長く確保する、という意味で、食べ物を長期間口にしない修行のようなものではありません。

アメリカでは、1日の食事を8時間以内を目安に完了させ、残りの16時間は胃を休めて体脂肪燃焼の時間に当てる、断続的ファスティング(intermittent fasting)という食事法が体質改善や食生活改善に取り入れられているようです。

このようにファスティングを取り入れることで、自らの体脂肪を燃料として効率よく代謝することができます。

まとめ

体脂肪燃焼に向けて、体脂肪燃焼スイッチをOFFにしてしまうホルモン「インスリン」の①分泌量を抑える食事を心がける、②インスリンが出ていない時間を長く確保する、という2点を実践してみましょう。

①のインスリン分泌量を抑える食事では、糖質の摂取量を減らすと共に、インスリン分泌を刺激しにくい良質な脂肪分を取り入れた食事を心がけましょう。

②のインスリンが出ていない時間を長く確保するためには、ファスティングが有効です。間食をなくす、朝ご飯から晩ご飯までの時間をできるだけ短い時間(8時間程度)で済ませ、食事をしていない時間を長く確保することに少しづつ慣れてみましょう。

タイトルの方程式としたように体脂肪燃焼を方程式にしてみると・・・

体脂肪燃焼={(普段の食事内容ー糖質)+良質な脂肪}×(普段の食事回数ーお腹空いていない時の食事ー間食)

となるでしょうか。

これからもどんどん情報発信をしていきますのでよろしくお願いします!!

(出典)Dr. Eric Berg, “How to Fix a Slow Metabolism: MUST WATCH”