2年ほど前から興味があった断食。きっかけはこのブログに度々登場するデイブ・アスプリー氏の著書「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」の本。この著書では1日の食事を8時間以内に終わらせる、いわゆる”プチ断食”が推奨されています。それから断食について調べると様々な健康効果が期待されることを発見。
しばらくこのプチ断食を実践していたのですが、完全な断食も実践してみたくなりました。一人で実践する自信がなかったので施設を探すことに。そして埼玉県にあった「リフレッシュの森」という施設に辿り着きました。こちらでは、「リフレッシュの森」の概要と、私の3泊4日の体験談・他の参加者から伺ったお話を中心にご紹介していきます。
こちらは2018年の情報なので、現在の情報はホームページでチェックされてくださいね。
リフレッシュの森とは
埼玉県本庄市の山の中に位置する断食施設です。JR本庄駅から出ている無料送迎バスで1時間弱のところです。東京からは約3時間程度で到着します。
費用は1泊1万円。個室利用の場合は追加料金が発生するようです。初回の方は入会金1万2千円が追加されます。(2018年8月時点の情報です!)
お盆の繁忙期だったので参加者は25人程度。結構多い方だそうです。
道場のようなガチ感はなく、保養所のようなゆったりとした雰囲気です。基本的には個人で自由に過ごせますが、”集団生活”なので食事の際に食器を片付けたり、送迎バスの時間はちゃんと守るようお願いされます。
施設
もともとは醤油や味噌の製造・販売企業「ヤマキ醸造グループ」の研修所だったようです。建物の作りは合宿所っぽいです。
外観はこんな感じでした。
宿泊棟は本館と別館に分かれており、本館は相部屋+個室、別館は個室のみといった感じです。
私が泊まったのは本館にある3人の相部屋。別館は徒歩10分ほど離れているので、本館から送迎バスが出ています。
女性側のお手洗いは個室3箇所のうち1箇所が洋式、それ以外は和式です。あまり混み合うこともないので、洋式は問題なく使えると思います。
全体的に掃除が行き届いているとは言えず、あまり期待しない方が良いです。お手洗いや浴室などの設備も古い印象です。リゾート感はあまりなく、合宿所として割り切ってのご利用をお勧めします。
ただ、そうは言ってもなかなか快適で過ごしやすい雰囲気です。近くに川が流れていて、せせらぎや鳥のさえずり、蝉の鳴き声が心地よく聞こえてくるので、自然の音を感じつつ、集中して作業できます。自室以外でフリーの時間を過ごすスペースとなる食堂や中庭は開放的です。
こんな感じでした。
中庭にはこんなフレンドリーな三毛猫もいます。
しまいには私の手提げに入り込む・・・フレンドリーがすぎる。。。けど可愛いから許す。
1日の過ごし方
こんな感じでスケジュールが組まれます。*が必須で、それ以外は全て参加任意です。
6:30 | 起床時間 |
7:00 | 朝のウォーキング |
9:00 | *朝ご飯(お茶タイム) |
10:00 | 朝の講座 |
12:00 | *お昼ご飯 |
12:45:00 | 周辺の温泉施設に出発 |
16:00 | 温泉から戻り |
16:30 | 午後の講座 |
18:00 | *晩ご飯 |
19:00 | 夜の講座 |
22:30 | 消灯時間 |
起床や消灯時間は全て目安時間です。施設内は22:30に消灯しますが、部屋の中の消灯時間は自由です。チャイムが鳴るようなことはありません。基本的に、ご飯の時間以外は好きなように過ごせます。
宗教っぽいとか、軍隊っぽいような雰囲気を想像されている方はご安心ください。笑
アクティビティ・温泉
朝のウォーキングは日によって3コース用意されており、インストラクターの方の先導についていきながら参加者みんなで歩きます。だいたい3km弱のコースで、どのコースも基本坂道を登って、同じ道を引き返してきます。周りが山に囲まれているのでそうなってしまうとのこと。坂道はそこまできつくないのと、朝から体を動かしている実感を得られるので、気持ち良く歩けると思います。
講座は全体的に、体操、ノルディックウォーキング、フラダンスや体操など、体を動かすものが中心の印象でした。夜は、ヨガや自力整体など、リラックスした状態で眠れるものが多かったです。実際、ヨガをやった日とそうでない日では寝つきが全然違うと話している参加者の方もいらっしゃいました。
午後は温泉施設に連れて行ってくれます。こちらも参加任意です。午後はフリー時間が長いので、リラックスして空腹から気を紛らわすには最適です。
リフレッシュの森から送迎バスが出ているのは「かんなの湯」、「白寿の湯」の2箇所です。どちらもリピートしたくなるような素敵なところでした。どちらも利用料は850円程度。(平日と休日で料金が異なります。)
白寿の湯は、ホームページで”名湯”とうたっているくらいお湯の効能推しでした。別名”千枚田の湯”と呼ばれるくらい、大浴場の床には温泉成分が固まって層になっています。泥パックもできたり、館内のリラクゼーションスペースも充実しています。こちらはリフレッシュの森に置いてあるチケットで「レンタルタオルセット」が無料になります。温泉までは送迎バスで送ってくれるので、断食で体力がなくなってきた頃に手軽にいきたい場合におすすめです。送迎バスを降りてからお出迎えが来るまで3時間程度あるのでだいぶゆっくりできます。
食事
食事はコースによって異なり、リフレッシュの森が提供しているのは以下の3コースでした。
- 酵素断食コース:基本的にご飯なし
- 半断食コース:普通の半分くらいの量の食事
- リフレッシュコース:普通の食事
いずれのコースも朝ご飯は、「梅醤番茶(うめしょうばんちゃ)」と呼ばれるお茶です。番茶+梅肉+少量の生姜+醤油で作ります。
お茶に醤油?と思われるかも知れませんが、お茶漬けのご飯なしバージョンと考えれば結構いけます。
これはお湯入れる前。
お湯を入れるとこんな感じです。
酵素断食コースは基本的にご飯なしなので、昼と夜は酵素ドリンクを飲みます。リフレッシュの森で手作りされているそうで、味は常時3種類。私が滞在した時は、麦、菜の花、野草でした。季節によってはりんごのようなテンションの上がる味もあるようです。砂糖で原料をつけたシロップのようなものを、水で割って飲むイメージです。
私は酵素断食コースだったので2日目の昼・夜と3日目の昼に酵素ドリンクをいただく予定でした。でも、初めて飲んだ時に味の癖を感じて断念しました。。。砂糖が入っていたので、推奨量の2分の1くらいにして飲みましたが、薄すぎると香りが強調されて美味しく感じませんでした。そのため2日目の夜以降はずっとお茶+梅干し or 塩で乗り切りました。
余談ですが、酵素は口から摂り入れても、酵素として体内に吸収されません。食事で得た栄養をもとに、体内で作るものです。そのため、砂糖シロップを断食中に飲むことに効果があるのかは疑問がありました。
半断食やリフレッシュコースの方は、量に違いはありますが、普通のご飯が出ます。マクロビオティックと呼ばれる玄米や野菜などを中心とした日本の伝統食です。
食べられた方の感想は「美味しい!」とのことです。半断食で量を抑えたご飯を食べられた方は、リフレッシュコースというしっかりご飯を食べるコースに参加しても良い、というくらい評価が高かったです。
数日間の酵素断食コースの方は、残念ながらこれらの食事を味わうことなく終了します・・・。
参加者の方々
繁忙期とのことで、参加した3日間のうち一番多かった時で25人の方が参加されていました。関東の方が多く、東京・埼玉・栃木の方が中心でした。
一番遠くて兵庫からのご参加。その方は関西の断食施設をいろいろ体験したので、旅行も兼ねて埼玉のリフレッシュの森に参加されたとのことでした。
女性多めで、全体の9割程度です。男性は1割くらい。
年齢層は幅広く、下は20代、上は60代の定年後の方もいらっしゃいました。
参加目的
食事は6人掛けのテーブルでするため、他の参加者とお話をする機会があります。食事をご一緒した皆さまに、参加動機や体調など、いろいろお伺いしたのですが、参加目的は減量が一番多かったものの、人によって様々でした。
仕事のストレスによる食生活の乱れが原因で、2年間で10キロ以上太ってしまい、改善のため参加された30代女性、
自分の食生活だけでなく精神と向き合うために参加された60代女性・・・
本当に様々でした。
減量目的で参加されている方にお話を伺うと、皆さま食事の量が減っていたり、そもそも食べていないだけあって、2日で数キロ単位で痩せられていました。
リフレッシュの森でボランティアの住み込みスタッフとして働かれている方は1年で40キロ減量されたり、14日の断食コースに参加されていた40代男性は滞在期間中で7キロ痩せられたそうです。
中には200日参加されて30キロ痩せて、減量進行中の強者もいらっしゃいました。
食事の量を半分程度に減らす半断食コース参加の女性は2日間で500グラムしか変わらない方もいました。
15人程度の皆様とお話した結果、減量効果は人それぞれであるものの、滞在期間中は一定程度の減量効果が期待できると言えそうです。
ただし!ここで注意が必要なのは、断食初期(開始から数日程度)にみられる減量は、ほとんど体内の水分量減少による減量です。この場合、帰宅後に炭水化物たっぷりの食事に戻した場合、すぐに体重は元に戻りますのでお気をつけください。
リピーター
参加者の4分の1くらいの方がリピーターでした。リピートの動機は、前回参加した時に減量できたものの、帰宅後はすぐに戻ってしまい、体調をまた戻すために参加したとのこと。前回は1年前の方や、数か月前の方など、それぞれでした。
体調の変化
プラスの変化
断食によってストレスを感じなくなった、胃が空っぽになってスッキリした、必要以上に食欲を感じなくなった、といった声が聞かれました。そして何より一番は体重が減ったことでしょうか。私自身、1日あたりマイナス1キロのペースで痩せていきました。ただ要注意なのは、断食から数日間の減量は、体内の水分量が減ったことによる一時的なものであることが多いです。体脂肪が減った、という本質的な減量ではないのでご注意くださいね。(きっとダイエットには健康的な生活習慣の継続が一番効果的です。)
また、これまでは運動習慣がなかったものの、リフレッシュの森滞在中にウォーキングや様々な講座に参加されることで運動習慣が身についた、とおっしゃっている女性もいらっしゃいました。
一方で、滞在期間が数日だった場合、体調の変化を感じられる方は多くありませんでした。よく体験談で見るような、”ツルツルのたまご肌になった”といった変化は、おそらく帰宅後に感じることなのでしょうね。
マイナスの変化
軽い症状だと倦怠感や頭痛、軽いめまいを体験されている方がいらっしゃいました。10日を超える期間の方は、断食後の回復食でおかゆを食べ始めたあたりで食欲が戻ってきて、それでもおかゆしか食べられない状態で食欲を乗り越えるのが辛かったとのこと。
ひどい方だと、吐き気や実際に吐いてしまう方もいらっしゃいました。反応は人それぞれで、おそらく滞在前の普段の食生活が影響していると思われます。
リフレッシュの森では、これらの反応を”好転反応”と呼んでいました。”吐き気を感じた時は、悪いものが出ようとしているサインなので、迷わず出してください”との指導がされていました。軽減のための具体的な対処方法の指導はなく、やり過ごしてください、との話がありました。
私は断食・ファスティングに関する本や研究論文を少しかじった程度ですが、個人的には、このようなマイナスの体の変化は副作用で、軽減のために対処が必要だと考えます。体がこれまで食事から入ってきた糖質ではなく、体脂肪にエネルギー源を切り替える過程で、体から水分が出ていって脱水症状気味になったり、尿と一緒に塩分が排出されてナトリウム不足になったりすることで発生する症状は中には危険なものもあります。医師の相談が必要なものもあるため、”好転反応”として根性論のようにやり過ごすことを促すのはちょっと危険かなと感じました。
もしこのブログを読んでくださっている方で断食を体験し、倦怠感、頭痛、めまい、吐き気などに襲われた方は、水分補給をしっかりし、塩分もしっかり摂るようにしてください。ひどい場合は医師に相談してくださいね。
他の施設との比較
参加者の中に他の断食施設に参加された方もいらっしゃったため、伺った内容を簡単にご紹介して見ます。
お話を聞けたのは以下2つ。両方とも関東近郊にある施設です。
桐生断食道場@群馬県桐生
ガチ断食派にはオススメ。部屋はみんな相部屋で起床時間も早く(5時半!)、みんなでの掃除があったり、体温計測も必須、しっかり管理されるところのようです。費用は安め。(体験講座等については情報は得られませんでした。)
やすらぎの里@静岡県伊豆
施設のきれいさではピカイチ。施設内で温泉や岩盤浴が楽しめるため、リゾート気分を味わいたいならオススメ。その分費用は高い。アクティビティは軽めのものが多く、講座はリフレッシュの森ほど充実していない。コースによって開催日程が固定されている(3泊の場合は水曜日から開始できない、など)。
上記の情報をいただいた方々は、施設のきれいさをさし置けば、講座の多さ、行動の柔軟性(基本強制参加的なものはなし)、予定の組みやすさ、費用の面で、リフレッシュの森を気に入られていました。
断食体験の所感・まとめ
実際にやってみると良い体験だったなと思います。ただ、ダイエットのやり方としては継続するのが難しいと感じました。私は今回の滞在で1.8キロ痩せました。ただ、実際にリピーターのコメントにもあったように、施設での滞在中は(結構辛い思いをして)断食をして痩せるものの、一度帰宅すると元の食生活に元どおりで、体重も戻って行きます。そうなると、せっかくきつい思いをして断食を行なっても、その効果が持続せずもったいないです。
また、ダイエットをするのが施設にいる時間だけになってしまうと持続可能性も低いかなと感じました。
もしかすると、リピーターになっていない方の中には、リフレッシュの森での体験をもとに、帰宅後も健康的な食生活を維持されているのかも知れないので一概にはいえないです。
それと、断食による体の不調を”好転反応”として具体的な対処を指導していないことや、効き目があまり期待できない酵素ドリンクを提供されていることから、科学的な根拠に基づいていない印象でした。断食することに意味はあると思いますが、断食によって得られる効果や体の変化などを解説してあげた方が、納得感のある断食生活を送れるのではないかと感じました。
個人的には、ここでの体験から、「そんなに食べなくても体調に大きな支障はない」という検証結果と、「食べ物なしの3泊4日を乗り切った」という成功体験・自信を得られました。
食べ過ぎがやめられず、食生活や体調が不安定になっていたために参加しましたが、帰宅後は自分のペースで断食を取り入れて、食べ過ぎを防止して行きたいと思います。
この心がけを改めて意識できただけでも、十分に満足な滞在でした。
この体験談が少しでも皆さまのお役に立ちますように!!