糖質制限ダイエットの副作用とその対処方法

心と体の働き

糖質制限ダイエット、ライザップの影響もあってだんだん定着してきています。

糖質制限とは、広い意味では糖質の摂取量を減らす、狭くいうと1日の糖質摂取量を50g以下、厳しい場合は20g以下に制限する食事法です。この方法で、自分の体のエネルギー源が、食事から摂取した糖質ではなく、自分の体脂肪や食事から摂取する脂質とする体質に変化していくようになります。

しかし、これまで糖質をエネルギーとしていた体が脂肪をエネルギーとするようになるには、ホルモンや細胞レベルでの転換期間が必要です。その期間中に起こる変化が、いわゆる”副作用”として起こることがあります。

糖質制限で元気がなくなる、便秘になる、息が臭くなる…このような話を耳にしたことがあるかも知れません。

ここでは、一般的に経験する方が多いと言われている副作用とその対策をご紹介していきます。

主な副作用とそれらが出てくる理由

以下のような症状が出ることがあります。

  • 倦怠感
  • めまい
  • 集中力の低下
  • イライラ
  • 胃のムカムカ
  • 吐き気
  • 便秘

体が炭水化物などの糖質からエネルギーを作ることに慣れているため、糖質がなくなってうまくエネルギーを補給できない状態となることが原因です。

これだけだとピンと来ないですね。「エネルギー源=お金」として考えてみましょう

これまで両親からのお小遣いをもらい、現金で好きなものを買っていた学生がいるとします。

アルバイトを開始した後は、お小遣いをもらえず、銀行口座に振り込まれた預金を引き出す必要がありす。

初めて預金を引き出すのには、銀行のATMを探さないといけなかったり、暗証番号をもしかしたら覚えていなかったり、ちょっと手間取りますよね。

エネルギー源を糖質から脂質に切り替えるのもそんな感じです。

「長年連れ添った恋人との別れ」にも例えてみたらもっとピンと来るかも・・・

物心ついた頃からずっと初恋の相手(=糖質)と連れ添ってきました。その相手といることで癒されたり、甘く楽しい思いをしたり、エネルギーをもらって元気づけられたりしてきました。

そこで、あなたは初恋の相手(=糖質)と別れを告げ、新しい恋人(=脂肪)と付き合うことにします。ただしその付き合いはそう簡単には始まりません。

慣れ親しんだ初恋の相手(=糖質)が恋しくてたまりません。元気がなくなる時もあります。(=副作用)

しかし、数週間から数か月の時を経て、新しい恋人(=脂肪)に慣れて、快適な付き合いを送るようになります。

このような移行期間が、糖質制限ダイエットによる副作用が起こる理由です。

体は毎日のようにちゃんと糖質を与えられていたのに、自分の中に体脂肪として溜め込んだエネルギーを使うとなると、適応するまでにちょっとした変化が発生するんです。

なぜこの副作用が出るのか、もう少し具体的に見ていきましょう。

水分とナトリウムの排出が進むため

糖質制限によって、インスリンを一番分泌させる炭水化物の摂取を控えることになります。インスリンの役割は、血液中の糖分(血糖)を体内にエネルギーとして運ぶ役割を担っています。それ以外に、

体内の水分量は食事での糖質摂取がなくても体が機能するように体内で作られ貯蔵されているグリコーゲンとも関係しています。グリコーゲン1グラムあたり3グラムの水分を蓄積しています。

糖質制限を開始すると共に、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンがエネルギーとして使われるため、水分減少による減量につながります。

このように、ナトリウム、グリコーゲン、水分の減少によって、糖質制限の副作用として起こりやすいめまいや倦怠感、頭痛などが起こります。このような症状はしっかり水分を補給し、ミネラルを摂ることによって改善されます。(詳細は後述します。)

副作用が出る期間

人によって差がありますが、最初の2-3日間に起こる場合が多い傾向があります。

1週間から2週間を過ぎたあたりから症状は消えていきますが、人によっては数週間にわたって症状を経験する方もいるようです。

食生活を変えることで体質の改善を行う際には、自分の体の変化やサインに敏感になりましょう。そうすることで次にご紹介する対処方法も、しっかり意識して実践できるようになります。

対処方法

以下の方法を試してみてください。

水分をしっかり摂る

上記でご紹介した理由から、糖質制限中は水分の排出がされやすくなっています。そして、水分不足は脱水症状を招いたり、倦怠感や吐き気の原因となります。そのため、水分はしっかり意識して摂るようにしましょう。

糖質制限中は、体重の2.0-2.8%相当の水分が必要だといわれています。

体重60kgの場合だと1日あたり1.2-1.7リットル、70kgでは1.4-2.0リットルくらいです。1日あたり1.5リットル程度を目安とするのが良いですね。

運動して汗をかいた場合は、追加で水分補給しましょう。

塩分をしっかり摂る

糖質制限することで、血糖値を下げる役割を担うホルモン「インスリン」の分泌量は低下します。このインスリンは、血液中のナトリウムを維持する役割もあるため、インスリンの低下と共にナトリウムも低下します。この結果、副作用として倦怠感、頭痛、便秘などが起こってしまいます。

その時に摂る塩分は、加工品ではなく、精製されていない、天然のものを意識してください。例えば岩塩やヒマラヤのピンクソルトなどです。天然の塩には、ナトリウム以外に、マグネシウムなどその他重要なミネラルが含まれているためです。

脂質の摂取量を上げる

体脂肪をエネルギーとする体質に変化するには、体が脂質をエネルギー源として使うことに慣れる必要があります。そのためには、積極的に脂質を摂ることが有効です。

特に、バターコーヒーで有名になってきたMCTオイル(中鎖脂肪酸)は、素早くエネルギーに転換されるため、体質の変化の強力なサポーターです。

MCTオイルが優れている点は、肝臓で素早く代謝され、ケトン体を生成できることにあります。脂身たっぷりのお肉など、その他食品から脂肪を摂取した場合、肉だとタンパク質から代謝され、肝臓にアセチルCoAを提供する頃には、タンパク質によって体内にエネルギーが届けられているため、肝臓がケトン体を生成する必要がなくなっている場合が多いです。そのため、脂肪を摂取するなら、素早く代謝されるMCTオイルがダントツでおすすめです。

それ以外にも、天然の食材を原料とし、できるだけ加工工程の少ない脂質は積極的に摂取しましょう。例えば、ココナッツオイル、オリーブオイル、ギー、ラードのようなものです。

野菜などからの糖質摂取量を上げる

ここまでにご紹介した対策を試しても症状が改善しない場合、糖質量がもっと必要な体質ということかも知れません。

そのため、摂取する糖質量を上げてみましょう。ただし、パンやパスタをしっかり食べていいという訳ではありません。芋類や根菜類に含まれる良質な食材から、少しづつ摂取し、自分に合った適量を見つけてみましょう。

最後に

糖質制限により症状が出たとしても、一時的なものだと考えましょう。対策をすれば症状は軽減されるはずですし、体が新しい食生活に慣れれば自然と症状も消えていきます。

人によって症状の程度も異なります。そのため、食生活の改善を始めてからは、自分の体調の変化に敏感になりましょう。そうすることで、自分にあった食生活や症状の対策が見つけられるはずです。

(出典)

ketosummit.com, What Is Keto Flu? (PLUS 6 Ways To Cure It)

rules.me, What is the Keto Flu & How to Remedy It?

タイトルとURLをコピーしました